往路の機中で、財布から日本円と不要な各種カードを全部出し、代わりに現地の通貨・クレジットカード2枚・運転免許証だけの「現地仕様財布」を作ると旅行気分もグッと増す。それにしても「円」は安い。3万円両替してたった250C$余り。確か去年は1C$=110円くらいだった様な気がするが・・・。「これがイマの日本の国力か。」自分のセコイ額の両替を棚に上げて呟く。
なぜカナダか?
理由1 どこかには行きたい。
理由2 ハワイ行きやサンフランシスコ行きは既に満席であった。
理由3 こんな蒸し暑い日本から脱出するのに、シンガポールとかタイとか熱帯性の処に
わざわざ行くことも無い。
理由4 去年「イチロー」を見るために、経由したバンクーバー(カナダ)が期待以上に快適だった。
総合的に判断!?
初めて来た時も感じたが、バンクーバー国際空港は他の国際空港と比べてとっても綺麗。入国審査前ロビーの入り口には「ネイティブカナディアン」風の彫像と壁一面の滝がツーリストを迎えてくれる。行列の脇には大きな液晶画面が設置され「カナダの見所」が次々と紹介されている。審査官もとってもフレンドリー。「ウィスラーに行く」、と告げると「 Golfing? 」とスイング身振りを交えて答えてくれる。入国者の指紋と虹彩を強制的に採取する米国とは大違いである。入った時気分が良いとその国の好感度は間違いなく高い。

無事に入国できたら次は「レンタカー」。ここではパーキングビルの中にあるので人の流れに乗って「ハーツ」を探す。
「コンパクトコンバーチブル」を予約したはずだが案の定ない。今まで「予約した車種」が用意されていた事が一度もないので、あまり驚かない。「SUV」ならあるらしい。
「 Upper grade, same price ? 」と念の為に聞き、他に選択肢も無いのでそれにすることにした。
日本ならまず乗らないが、山の方に行くのでSUVも又良しである。
空港から北に向かい、バンクーバー市街・スタンレーパーク・ライオンズゲート橋を渡り、ノースバンクーバーから1号線(米国99号線)に乗る。

1号線を南に下るとシアトルに行けるが、今回は北に向かう。
バンクーバーからウィスラー間は「 Sea to Sky Way 」と呼ばれ 120km 足らずだが、最初は左手に「フィヨルド」を見ながら走り、湾の奥から内陸に入り標高が増すと、山の頂付近に雪渓が散在する山脈がフロントウィインドー越しに見えてくる。
「夏に雪を見れるなんて!」九州育ちには感動物である。
残念なことに至る処で道路幅拡張工事をやっており、帰り道などは30分以上通行停止をくらった。
日本なら路側帯を走ったり、反対側の車線を逆走したりする車が必ずいるが、ここはバイクさえも列の中でじっと待っている。
その昔初めて米国に行った時、「何故、米国人はルールを守るのか?」と知人と議論になったことがあった。私はキリスト教に基づき「天知る、地知る、己知る、だからだ。」と言い、知人は「多民族、異人種の集まりなので、ルールを守ることによってしか団結できないのだ」と言っていたのを思い出す。どちらにせよ、カナダには「30分以上待たされてもイライラしない」豊かな生活スタイルがあるのは確かである。
停止させられ20分ほどして、2台の連れ立った車がUターンして元に戻っていった。キャップを被っているので米国人家族に違いない。(カナダ人は老若男女日傘はおろか、帽子も被らない。)今日日、米国には余裕が無くなってきたのであろうか。

福岡を出発して20時間余り、
やっと目的地「ウィスラービレッジ」に到着。
冬は北米でも有数のスキー場になるが、夏も「エコ・アクティビティ」が満載らしい。ビレッジの目の前には「ウィスラー山」と「ブラッコム山」がそびえ、ゴンドラとリフトを使って頂上まで行ける。
ゴンドラでベースまで行く。ロッジの床には建設中に迷い込んできた「熊の足跡」が残っている。
ベースからはスキー用のリフトで頂上に向かう。標高が上がって行くに連れ、気温が下がる。霧の中にすべてがぼんやり。ベースの発電機の音もここまでは届かず、ケーブルが時々軋む他無音。フリースを着ていてはいるがその下は夏服、とても寒い。突然リフトが止まる。このまま放置されたら凍え死ぬだろう。死んだらこんな風に浮遊するのであろうか。カナダで涅槃に遇う。
何分経ったか、リフトが動き出す。命拾い。続きは次回。